🧩 業種(セクター)で見る株式市場
株式市場は、食品・自動車・銀行など17の業種に分けて見られる。景気・為替・金利のどれに業績が左右されやすいかを、図鑑と一覧表で整理する。
このレッスンの目次
- 株式市場は、似た事業の会社をまとめた業種(セクター)に分けて見ることができる。日本ではTOPIX-17業種や東証33業種
- 業種ごとに、業績が景気・為替・金利・原材料価格のどれに左右されやすいかの傾向がある
- 傾向は目安で、同じ業種でも会社によって違う。売買のタイミングを決める道具ではない
17の業種を、図鑑で見る
東京証券取引所は上場会社を33の業種に分けていて、それを17にまとめたのがTOPIX-17業種です。ボタンを押すと、当てはまる業種が浮き上がります。カードを開くと、どんなことに業績が左右されやすいかが出ます。
17業種
食品
加工食品・飲料・たばこ・水産や農林業など
東証33業種水産・農林業・食料品
暮らしに欠かせないものが多く、景気が悪くても売上が落ちにくい傾向。小麦・油などの原材料の値段の影響を受けやすい。
エネルギー資源
石油・石炭の製品、鉱業(資源開発)
東証33業種鉱業・石油・石炭製品
原油などの資源価格によって業績が大きく動きやすい。
建設・資材
建設、ガラス・土石、金属製品
東証33業種建設業・金属製品・ガラス・土石製品
公共投資や住宅・設備投資の動きの影響を受けやすい。資材の値段や人手不足も業績に関わる。
素材・化学
化学、繊維、パルプ・紙
東証33業種繊維製品・パルプ・紙・化学
さまざまな製品の原料をつくる。世界の景気や原料の値段の影響を受けやすい。
医薬品
医薬品
東証33業種医薬品
景気の影響は比較的小さい傾向。新薬の開発の成否や、薬の公定価格(薬価)の改定の影響を受ける。
自動車・輸送機
自動車・部品などの輸送用機器、タイヤなどのゴム製品
東証33業種ゴム製品・輸送用機器
海外での販売が多く、世界の景気と為替(円安・円高)の影響を受けやすい。
鉄鋼・非鉄
鉄鋼、非鉄金属
東証33業種鉄鋼・非鉄金属
建設・自動車など幅広い産業の需要と、鉄鉱石・金属の国際価格の影響を受けやすい。
機械
機械(工作機械・建設機械など)
東証33業種機械
企業の設備投資の影響を受けやすい。海外向けの比重が大きい会社も多い。
電機・精密
電気機器、精密機器
東証33業種電気機器・精密機器
半導体・電子部品などの世界的な需要の波と、為替の影響を受けやすい。
情報通信・サービスその他
情報・通信、サービス、その他製品
東証33業種その他製品・情報・通信業・サービス業
通信のように景気の影響が小さい事業から、広告・人材のように景気に左右されやすい事業まで幅広い。
電力・ガス
電気・ガス
東証33業種電気・ガス業
需要は景気の影響を受けにくい一方、燃料(LNG・石炭など)の値段や、設備のための借入れの金利の影響を受けやすい。
運輸・物流
陸運、海運、空運、倉庫・運輸関連
東証33業種陸運業・海運業・空運業・倉庫・運輸関連業
人やモノの動きの量と、燃料の値段の影響を受けやすい。海運は世界の物流の需給で大きく動くことがある。
商社・卸売
卸売業(総合商社・専門商社など)
東証33業種卸売業
資源の権益を持つ会社は資源価格の影響を受けやすい。世界中で幅広い事業を持つ。
小売
小売業(スーパー・専門店・EC など)
東証33業種小売業
国内の個人消費の動きの影響を受けやすい。仕入れ値や人件費の上昇も業績に関わる。
銀行
銀行業
東証33業種銀行業
貸出の金利と預金の金利の差(利ざや)が収益の柱で、金利の動きの影響を受けやすい。景気が悪いと貸し倒れが増えることもある。
金融(除く銀行)
証券・商品先物、保険、その他金融
東証33業種証券、商品先物取引業・保険業・その他金融業
証券は株式市場の取引の多さ、保険は金利や運用の結果の影響を受けやすい。
不動産
不動産業
東証33業種不動産業
借入れが多くなりやすく、金利の上昇は負担になりやすい。オフィスや住宅の需要と価格の影響を受ける。
何の影響を受けやすい? ― 業種ごとの一般的な傾向
| 業種 | 景気 | 海外・為替 | 金利 | 原材料・資源 |
|---|---|---|---|---|
| 食品 | 景気の影響:小さい | 国内中心 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| エネルギー資源 | 景気の影響:大きい | 国内・海外 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 建設・資材 | 景気の影響:大きい | 国内中心 | 影響を受けやすい | 影響を受けやすい |
| 素材・化学 | 景気の影響:大きい | 国内・海外 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 医薬品 | 景気の影響:小さい | 国内・海外 | 比較的小さい | 比較的小さい |
| 自動車・輸送機 | 景気の影響:大きい | 海外の比重大 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 鉄鋼・非鉄 | 景気の影響:大きい | 国内・海外 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 機械 | 景気の影響:大きい | 海外の比重大 | 比較的小さい | 比較的小さい |
| 電機・精密 | 景気の影響:大きい | 海外の比重大 | 比較的小さい | 比較的小さい |
| 情報通信・サービスその他 | 景気の影響:事業による | 国内中心 | 比較的小さい | 比較的小さい |
| 電力・ガス | 景気の影響:小さい | 国内中心 | 影響を受けやすい | 影響を受けやすい |
| 運輸・物流 | 景気の影響:大きい | 国内・海外 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 商社・卸売 | 景気の影響:大きい | 国内・海外 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 小売 | 景気の影響:事業による | 国内中心 | 比較的小さい | 影響を受けやすい |
| 銀行 | 景気の影響:大きい | 国内中心 | 影響を受けやすい | 比較的小さい |
| 金融(除く銀行) | 景気の影響:大きい | 国内中心 | 影響を受けやすい | 比較的小さい |
| 不動産 | 景気の影響:大きい | 国内中心 | 影響を受けやすい | 比較的小さい |
受けやすい 事業による・中くらい 比較的小さい
業種の区分は日本取引所グループ「TOPIX-17シリーズ」による。傾向は一般によく言われるもので、同じ業種でも会社によって大きく違います。特定の業種や銘柄の売買をすすめるものではありません。
景気の波と、業種の関係
景気は、よくなったり悪くなったりを繰り返します(景気循環)。景気の影響を受けやすい業種を景気敏感、受けにくい業種をディフェンシブと呼ぶことがあります。局面を押して、それぞれの時期によく見られることを確かめてみましょう。
景気の4つの局面
回復:落ち込んでいた生産や企業の業績が、持ち直し始める。金利はまだ低いことが多い。
景気の影響を受けやすい業種(景気敏感)は、業績の持ち直しが目立ちやすい。
拡大:雇用や所得が増え、消費や設備投資が伸びる。物価や金利が上がり始めることがある。
幅広い業種で売上が伸びやすい。人手不足や原材料高が、費用の増加として表れることも。
後退:生産や消費の伸びが鈍り、企業の業績が悪くなり始める。
景気敏感の業種は、業績の落ち込みも大きくなりやすい。
停滞:失業が増え、物価が上がりにくくなる。中央銀行が金利を下げるなど、景気を支える政策がとられることが多い。
景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ)は、業績の振れが比較的小さい傾向。
経済をつくる産業の割合
株式市場の業種とは別に、国の経済全体がどんな産業で成り立っているか(産業構造)も見てみましょう。日本では、生み出された価値の約7割をサービス業が占めています。
経済をつくる産業の割合
- 農林水産業
- 製造業
- 建設・鉱業・電気など
- サービス業
- 調整(税・補助金など)
国どうしで比べる(付加価値の対GDP比)
日本の変化(1994年〜)
世界で使われる業種の分け方(GICS)
海外の株式や、世界の株式に投資する投資信託の説明では、GICS(世界産業分類基準)の11セクターがよく使われます。TOPIX-17とは分け方が少し違います。
- エネルギーEnergy
- 素材Materials
- 資本財・サービスIndustrials
- 一般消費財・サービスConsumer Discretionary
- 生活必需品Consumer Staples
- ヘルスケアHealth Care
- 金融Financials
- 情報技術Information Technology
- コミュニケーション・サービスCommunication Services
- 公益事業Utilities
- 不動産Real Estate
確認クイズ
一般に「ディフェンシブ」と呼ばれることが多い業種の組み合わせは?
答えと解説
正解は B。食品・医薬品・電力・ガスなど、暮らしに欠かせない商品やサービスを扱う業種は、景気が悪くても業績が落ちにくい傾向があるとされます。ただし「値下がりしにくい」という意味ではなく、燃料価格や制度の変更などで業績が大きく動くこともあります。
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このレッスンの用語
似た事業をする会社をまとめた区分。株式市場を分けて見るときの単位。
業種分類(東証33業種・TOPIX-17)東証が上場会社を事業内容で分けた区分。33の業種と、それを17にまとめたものがある。
景気敏感株業績が景気の良し悪しに大きく左右されやすい業種の株。
ディフェンシブ株景気が悪くなっても業績が落ちにくいとされる業種の株。
内需株・外需株国内の需要で稼ぐ会社が内需株、海外での販売や輸出の比重が大きい会社が外需株。
GICS(世界産業分類基準)世界の株式市場で広く使われる業種の分類。11のセクターに分ける。
セクターローテーション景気の局面によって、注目される業種が移り変わるという考え方。
産業構造国の経済が、農林水産業・製造業・サービス業などの産業でどう成り立っているか。
